平成30年の論文式試験における、自分の監査論の答案が返却された。今回はその内容を共有する。
これまでお伝えしてきた勉強法を使って本番に臨んだ場合、実際の試験中にどのようなことを考えていたか、試験後の手ごたえはどうだったか、できる限り詳細に書いてみる。
少し長くなるかもしれないが、必要な部分だけでも参考になれば幸いだ。
今回は監査論 第1問(問題1および問題2)について記載する。
監査論 第1問(問題1・問題2)
問題1
出題の冒頭を見て、「二重責任の原則」が問われているのかと思った。しかし、「継続企業の枠組みの中で」という文言があるため、単なる一般論ではなく、具体的な対応が求められていることがすぐにわかった。
そのため、「財務諸表の作成は経営者の責任であり、その適否を監査するのが監査人の責任である」というような文言は、今回は意識的に盛り込まなかった。
次に、双方の責任について触れる際、監査基準をどう利用できるかを検討した。
出題の主題が「継続企業の前提」に関するものであるため、監査基準570号「継続企業」を確認。
経営者の視点で利用できそうな論拠は特に見つからなかったので、解答の流れとしては、
- 継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象があるかどうか
- そのような事象がある場合、対応策を講じたうえでもなお、重要な不確実性が存在するかどうか
といった論点を中心に構成する方針とした。
一方、監査人側の視点では、基準第6項前半の「経営者が継続企業の前提に基づき財務諸表を作成するかどうかを結論付ける責任がある」といった部分が使える。ただし、そのまま引用するのではなく、自分の言葉で言い換え、「独立した立場から~」という要素を付加することで、基準に依拠していることを匂わせつつ、直接的すぎない表現を心がけた。
問題2
見たことのない形式の問題だった。
注意すべきポイントは以下の2点:
- 「監査計画の策定時」に関する記述であること
- 「リスクアプローチを踏まえる」ことが明示されていること
リスクアプローチとは、重要な虚偽表示が生じる可能性がある項目に重点的に監査資源を投入する監査手法だ。
この問題文にある「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況」は、重要な虚偽表示の可能性がある論点と解釈できる。そのため、監査計画段階でこのような事象・状況の有無を確認する必要性があることを記述した。
重要な虚偽表示の可能性については、次の2点に分類できる。
- 継続的な売上減少など、事業上の困難がある場合、継続企業の前提に疑義が生じ、それにもかかわらず棚卸資産の評価減等がなされていない場合、重要な虚偽表示に該当する可能性がある。
- そもそも継続企業の前提が成立していないにもかかわらず、その前提で作成された財務諸表自体が、全体として重要な虚偽表示となる。
以上の観点から、監査計画段階でこれらの事項を確認する必要があると論述した。
ただ、出題が複雑で記述も難しかったため、試験中は不安を感じつつも、何とか答案を書き上げたというのが正直なところだ。
これが、試験時間内に自分が考えていた内容である。
論理的にはある程度筋が通っていると感じたが、試験後に各予備校の解答速報を見る限り、特に問題2に関しては自分の解釈とずれていたようだ。第1問の素点が15点だったことを踏まえると、出来はあまり良くなかったのだろう。
次回は、監査論第1問の問題3〜5について記載する予定だ。